利用規約の効力
ケース
(登場人物) X部長:A社のネット事業開発部長 Yさん:X部長の部下
| X |
「例の新SNSサービスだが,来月いよいよスタートだな。利用規約はもうできているのか?」 |
| Y |
「バッチリです。内容は弁護士にも確認してもらってます。」 |
| X |
「ちょっとデモ版を見せてくれ。」 |
| (デモ用のサイトを見る) |
| X |
「確かに,会員登録の際には利用規約が表示されて同意も必要になっているが,会員登録しなくても使える一時ユーザの場合は,利用規約が表示されないぞ。その場合,利用規約は適用されるのか?」 |
| Y |
「会員のことしか考えていませんでした。弁護士と相談します。」 |
|
インターネット上には,物販やコミュニティサービス,コンテンツビジネスなど,さまざまな形態のサービスがあります。
多くの場合,これらのウェブサイトの隅のほうに,「利用規約」
(注1)などと書かれたリンクが貼られています。
また,通常は,会員登録や取引を行う前に,長々と利用規約を表示し,「同意する」という旨のチェックをしないと会員登録や取引ができない,という流れになっています。では,この利用規約にはいったいどんな意味があるのでしょうか。
これらのサービスを利用する場合,事業者と利用者との間で,利用契約が結ばれます。
ただし,利用者がサービスを利用しただけでは,
事業者と利用者との間で細かな取り決めがなされるわけではありません。
そこで,事業者が定めた利用規約に同意してもらうことにより,その内容が利用者と事業者との間の契約の内容に組み込まれることになります。利用規約は,クレジットカードや保険加入の際の約款と同じような役割を果たすことになります。
ただし,
あくまで利用者が「同意」した場合でなければ,両者の契約の内容になるとは言えません。
どのような場合に利用者が利用規約に同意したと言えるのでしょうか。
この点について,電子商取引等に関する準則
(注2)には,次のように書かれています。
| ウェブサイトで取引を行う際に必ずサイト利用規約が明瞭に表示され,かつ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要とされている場合 |
逆に,契約の内容とならないことが想定されているケースとしては,以下のように書かれています。
| ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで,ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合 |
その中間(例えば,目立つ場所に掲載されているが,同意クリックまでは必要としない場合など)は個別に判断されることになりそうです。
しかし,事業者としては,利用者との間で契約内容に組み込まれたかどうかあいまいな状態にしておくべきではありません。
したがって,この準則を参考にしながら,利用規約のレイアウトや同意ボタンの配置を検討し,
サービスの開発段階から法律の専門家の意見を取り入れることが望ましいといえます。
ポイント 利用規約が常に利用者との間で法的拘束力を持つとはいえない。表示方法や同意する旨のアクションを要することに注意が必要