競合他社(Y社)が販売しているビジネスソフトウェアβの画面が,当社(X社)の開発・販売にかかるビジネスソフトウェアαの画面とよく似ています。Y社によるβの画面デザインを変更させることはできないでしょうか。
αの画面に関する著作権に基づき,βの画面デザインの変更を求めることが考えられます。αの画面について意匠権を取得している場合には,意匠権に基づく同様の請求をすることも考えられるでしょう。

(a)画面デザインを保護するための権利

ビジネスソフトウェアの画面デザインについても,著作権が発生し得ます。αのデザインが,ありふれたものやごく簡単なものでない場合,αの著作権に基づきβの画面デザイン変更を求めることが考えられます。

また,平成28年4月より,特許庁の運用改正により意匠権により保護される画面デザインの種類・態様が増えました。X社がαの画面デザインについて意匠権を取得しているのであれば,意匠権に基づきβの画面デザインの変更を求めることも考えられます。

以下では,著作権に基づきβの画面デザイン変更を求めることができるか説明していきます(意匠権と画面デザインの関係については,画面と意匠権のトピックをご参照ください。)。

(b)著作権侵害が成立する場合とは

設例の事案で著作権侵害が認められるためには,βからαの表現上の本質的特徴を直接感得できることが必要です。抽象的なアイディアが類似していたり,機能に由来するデザイン部分が共通であるとしても,著作権侵害にはなりません。

この判断は,特にβの画面とαの画面が「同一とまではいえないものの似ている」という程度の場合,簡単ではありません。βとαの類似性の程度如何によっては,著作権侵害とはいえない可能性もあるからです。

たとえば,スケジュール管理ソフトウェアの画面デザインについて著作権侵害の成否が争われた事例として,東京地裁平成14年9月5日判決があります。この事件では,下記の画面デザインについて著作権侵害が否定されています。

(左:原告サイボウズの画面,右:被告の画面)

判決は,著作権侵害を否定する理由の一つとして,両者で共通する点はスケジュール管理ソフトウェアとしての「機能」に由来する部分にとどまることを挙げています。

本質的特徴の直接感得性を判断する際に考慮すべき事情は上記の点に限られるわけではありません。共通している部分が他社の画面デザインにも多く見られるようなありふれた表現であるか否かといった点や,両者の相違点も踏まえたうえでの表示画面デザイン全体から受ける印象等も考慮されます(前記東京地裁平成14年9月5日判決の他,東京地裁平成15年1月28日判決もご参照。)。

ここで述べた考え方は,スケジュール管理ソフトウェアに限った話ではなく,他のビジネスソフトウェアの画面デザインにも同様に妥当するものです。著作権侵害といえるか否かについては,精緻な検討・判断が必要になります。判断に迷う場合は専門家に相談されるのが良いでしょう。

(弁護士 高瀬亜富 H29.3.30)