当社が運営するCtoCプラットフォームサービスにおいて他社の著作権や商標権を侵害する商品が取引された場合,当社は著作権侵害や商標権侵害の責任を負わなければいけないのでしょうか。

貴社が当該侵害品が出品等されていることを知りながら放置したような場合,貴社も著作権侵害や商標権侵害の責任を負う可能性があります。逆にいうと,貴社の認知しえないところで侵害品の取引が行われたとしても,原則として貴社が責任を負うことはありません。

プラットフォームサービスにおいて他社の著作権や商標権を侵害する商品が取引されるなどした場合,プラットフォーマーは著作権侵害や商標権侵害の責任を負わなければいけないのでしょうか。

この点については次のように分けて考えることができるでしょう。

まず,動画投稿サイトのように,一定数他者の著作物が利用されるであろうことが予想される場合には,予め侵害を防止するための適切な措置(JASRACとの契約等)を講じておく必要があります。さもなければ,かかるサービスは著作権侵害を誘発する違法なサービスであるといわれてしまうでしょう。

このような措置を怠っていたがゆえに動画投稿サイト運営会社及びその代表者に著作権侵害責任が認められ,約9000万円の損害賠償金の支払いが命じられた例として,知財高判平成22年9月8日判例時報2115号102頁[TVブレイク事件]があります。

他方,上記のように侵害を誘発しやすいサービスとまではいえない場合,プラットフォーマーは,たとえば侵害品が出品されていることを認識してから合理的な期間内に当該侵害品の出品を中止させるなどの措置を講じれば著作権侵害や商標権侵害の責任は負わないものと考えられます。

このような判示を行った裁判例としては,電子掲示板に著作権侵害となる書き込みがなされた場合の掲示板管理者の責任について判示した東京高判平成17年3月3日判時1893号126頁[2ちゃんねる小学館事件],楽天市場において他社の商標権を侵害する商品が出品されていたという事案において,楽天が商標権侵害の責任を負うかという点について判示した知財高判平成24年2月14日判時2161号86頁[楽天事件]があります。

ところで,後者の場合,プラットフォーマーとしては事前準備は全く不要というわけではありませんので,注意が必要です。楽天の例に即していえば,楽天は違法な出品がなされた場合には楽天の判断で出品を中止させることができる旨を規約に明示し,技術的にもそのような対応が可能となるよう準備していたため,侵害品が出品されていることを認識した後,合理的な期間内に適切な措置を講じることができたのです。

後者のようなサービスであっても,サービスの仕様や利用規約を適切に作り込んでおくことは必須といえるでしょう。

2020年3月13日